ビッグな自動車船(Car Carriers)で賑わう東京湾
今日も東京湾の話だけど、昨日の夕方は自動車船(Car Carriers)が次々と外海に向けて航行していた。コンテナ船と自動車船の大きな違いは荷物の陸揚と塔載の方法にある。
コンテナ船の場合は、港に設置された大きなクレーンを使って積み下ろしや積み込みが行われる。自動車船の場合も、その昔はクレーンで行われていたが、1960年代からRO-RO(roll-on/roll-off)方式といって、自動車が自走して船に入ったり出たりする形に変わった。そのため、フェリー船のように港の岸壁と船の車両甲板を渡すランプウェイがついており、自動車はこのランプ上を走って船の中に入る。
船の名前はイグアスの滝から命名されたそうだ。確かに高層ビルのように海面からそそり立っている。というのも、自動車の高さに合わせて船内にいくつものフロアーがあって、自動車を効率的にたくさん搭載するためだ。このIguazu Highwayは最大7450台もの車を搭載できるそうだ。
下の3枚の写真は6000数百台の車を搭載できる商船三井が運用している自動車船だ。全長は199m、船幅32mだ。船名にみなACEがついているが、これは商船三井のブランド名でACE(Auto Carrier Express)のことだ。
GENUINE ACE(船籍:リベリア、製造:三井E&S)
ORCHID ACE(船籍:日本、製造:トータスエンジニアリング)
ONYX ACE(船籍:リベリア、製造:三菱重工)
下の自動車船 わこう(船籍:日本、製造:新来島どっく)は自動車搭載台数は約500台である。全長118m、船幅17mとちょっと小さめだけど、見た目はかなり迫力がある。
海運業界とコンテナ船の話が続く
野鳥もいろんな種類があり、それぞれ個性豊かで面白いけど、コンテナ船も調べると面白い。
コンテナの横に大きな文字が書いてある。前回の投稿で ONE(Ocean Network Express) の話をしたけど、世界的によく見るのが MAERSK である。これは世界第2位の海運会社であるマースクラインのことだ。デンマークの会社である。ちなみに1位は中国のCOSCOで、日本では6位が日本郵船、7位がONEだ。ONEは日本郵船、商船三井、川崎汽船のコンテ事業を2016年に統合した会社である。
この写真はMAERSK所有のコンテナ船「STEPNICA」で、全長334m、船幅43mの船だ。ちょうど横浜の南本牧に入るところだ。コンテナ積載量は20フィート換算で約1万個、規模としては中規模だそうだが、遠めでみてもかなりの存在感だ。船を横からみると40フィートコンテナが20個(長さにすると約244m)並んでいる。船の幅方向では17個(40フィートコンテナの幅は8フィート(約2.4m)なので、長さにすると41.5m)並んでおり、数値から見ても船のほとんどはコンテナがしめていることが分かる。高さ方向であるが、甲板から最大9個積んであるのが分かる。コンテナ1個の高さが8.5フィート(約2.6m)なので、高さは甲板から約23mになる。
STEPNICAは中国や韓国を経て横浜にやってきた。1日だけ停泊してすぐにメキシコに向かう。各港でのコンテナの積み下ろしや積み込みも含め、コンテナ船の運用はすごく効率化されているに違いない。グローバルなノウハウと最先端の技術が詰め込まれた仕事なんだろうと、東京湾で勉強させられる。
東京湾で考えるコンテナのグローバル化
またまた野鳥から離れてしまいますが・・・東京湾にはたくさんのコンテナ船が行き交う。東京や横浜や川崎にコンテナ船ターミナルがあるからだ。とはいえ、その規模は上海港の5分の1、釜山港に3分の1と、世界で大型コンテナの集中化が進む現在、京浜地区の港は中規模なターミナルといえる。
さて、コンテナの長さは20フィート(約6m)と40フィート(約12m)の国際標準があり、コンテナ船は20フィートのコンテナをいくつ積めるかで比較される。2017年に就航した商船三井のコンテナ船「MOL Triumph」は20フィートコンテナを最大2万個も積載できる。もし、2万個のコンテナをJR貨物のコンテナ貨車で運ぶと先頭が東京駅で尻尾が清水駅になる計算だ。
米国の鉄道の70%はコンテナ輸送だそうだが、コンテナ貨車はこの国際標準に合わせて設計されている。効率よく運ぶために、ダブルスタッカーといって大型の40フィートコンテナを2段積みにできる貨車が普通だ。そうすると東京駅から平塚駅くらいに縮まる。
ところが日本の鉄道のコンテナは長さが12フィート、20フィート、31フィートであり、国際標準でないものも多く、海から揚げた40フィートコンテナをそのまま輸送できない。どうしても、トラック輸送になってしまう。日本には小さなコンテナターミナルが60くらいあるが、地方まで船で運んでそこからトラックが多いのだろう。米国でも国際標準に統一するのに時間がかかったそうだ。日本では狭軌鉄道で重量制限があり、国内輸送が中心という理由もあるが、円滑な海上と陸上輸送を行うためにも、コンテナのグローバル化が必要なのかもしれない。
米国のダブルスタッカーの写真がないので、Nゲージの模型で再現しました。コンテナ船に積まれているONEと書いてあるコンテナが模型で再現されてます。ちなみに、ONEとはOcean Network Expressのことで、日本の商船3社が設立したコンテナ運用会社のことです。それと模型のディーゼル機関車は米国のCSX社とUP社のSD70です。
頑張れ!南極観測船「しらせ」
野鳥写真ブログから最近ちょっと逸脱気味だけど・・・今日の写真は海上自衛隊では砕氷船、文部科学省では南極観測船と呼ばれている「しらせ」。明治時代の南極探検隊リーダ白瀬中尉に由来する船名だと思う。横須賀を母港としているので東京湾ではときどき見かけることがある。
初代の砕氷船が「宗谷」で次は「ふじ」、そして初代「しらせ」で、現在がこの2代目「しらせ」である。宗谷が全長82m、このしらせが全長138mだそうで、1.5倍以上もある。東京湾にはもっと大きな船がたくさんあるので、かなり小さめに見えるが、何といってもオレンジ色の船体が目立つのですぐに分かる。
地球温暖化で南極の氷河が溶け出している。7000年前の縄文海進で海面上昇の話が最近話題になる。南極観測の科学的な成果はよく知らないが、きっと地球環境保護に一躍買っているにちがいない。かなり遠いつながりだと思うけど、野鳥保護のために、頑張れ!南極観測船「しらせ」