ノムラモミジとアオジの囀り
アオジといえば、横浜では冬にお目にかかる鳥である。鳴き声はといえばツンツンという低い声しか聴いたことがない。今の時期に北海道に行くと、アオジの美しい囀りが聞こえる(写真で囀りが聴こえないのが残念)。その囀りを文字で表現しようにも複雑すぎて手に負えない。ネットのBIRD FANによれば、「チョッピンチロロ、チーチョロリリリー」と鳴いているというが、文字では表現できないほど繊細で美しい。
千歳にある自然公園で聴いたこの声の主を探すと、赤いモミジの枝で鳴いていた。普通はイロハモミジといって秋に紅葉するのに、この公園のモミジはもう赤い。調べるとノムラモミジというそうだ。アオジとモミジを一緒に撮ると晩秋の雰囲気であるが、今は初夏である。他にも巣から顔を出すシジュウカラや餌をついばむコゲラなど、今にも雨が降りそうだ天気だったけど、季節を超えて気持ちのいい時間を過ごすことができた。
巣から顔を出すシジュウカラ
餌をついばむコゲラ
温泉とキビタキの素晴らしい組み合わせ
梅雨のないはずの北海道なのに、渡道中の天気はずっと雨だった。ただ、一時的にやんで晴れ間がでることもあるので、スマホで雨雲レーダーを確かめる。毎日、朝から車で野鳥のいそうな自然公園に出かけるのであるが、残念ながら雨はやんでくれない。
でも、野鳥はダメでも日本各地には素晴らしい温泉がある。北海道後志地方の共和町にはワイス温泉、ニセコ町は五色温泉、蘭越町は雪秩父温泉、幽泉閣、黄金温泉、黒松内町には黒松内温泉などなど。ということで、雨が降るといつも温泉に入ることにしている。温泉で雨があがるまで待つのだ。スマホを見ると午後1時から晴れ間が出るという。温泉でゆっくりと昼ご飯を食べながら待っていると、外はだんだん明るくなってきた。さあ、ようやくカメラの出番だ。
ということで撮影したのが、このキビタキである。可愛らしいメスのキビタキもいる。さっと飛んで行ったかと思うと、小さなアオムシをつかまえた。美しい声でよく鳴いている。ほんの1時間くらいだったけど、キビタキと楽しい時間を過ごすことができた。温泉とキビタキ。素晴らしい組み合わせだと思う。
北海道の後志はキビタキ天国
週末に北海道の後志(しりべし)地方に行ってきた。山の中を車で移動していると、どこからでもキビタキの鳴き声が聞こえる。ここはキビタキの天国に違いない。例年よりも数が多い気がする。ただ、週末は寒くて雨ばかりの日だったが、早朝や昼間の晴れ間にキビタキにお目にかかることができた。
いつもお世話になっているMさんは山小屋に住んでいる。Mさんの庭にあたるのが広大な森なのであるが、Mさんでさえ足を踏み入れたこともない場所がほとんどだ。伐採した木を運ぶために小さな道を作ったのだけど、その道沿いのほんの少しだけが私の撮影場所である。雨でなければ早朝から三脚を持って出かける。夕方もねらい目だ。森の中で3か所くらいでキビタキが鳴いている。たまにメスも出てくる。オオルリやアカゲラもいる。自分の庭がこんな場所だったら・・・キビタキもだけど、野鳥ファンにとってもここは天国だ。
夕方の青空をバックにキビタキが餌をさがしている。
森の別の場所。最初のキビタキとは個体の違う。
最初のキビタキとペアになっていると思われるメスのキビタキ。
バックの青葉の模様が美しい。
高い木の上にオオルリもいた。もっとも鳴いていないので、見つけるのがとても難しい。
初めての深遠なミヤマカケス
清流の森でオオルリを眺めていたら、突然頭上で「ガァ!」という鳴き声がした。ニセコ周辺ではカラスはあまり見ないと思いつつ見上げると、羽を大きく広げて鳩ぐらいの大きさの鳥が飛んでいた。高い木の枝にとまった姿を写真に撮って調べてみるとミヤマカケスだった。羽に青と白と黒の模様があり、鳴き声とは裏腹にとても美しい姿だった。
5年前に北京の清華大学に滞在していたことがあるが、キャンパスにたくさんのカササギがいた。このカササギもカラスのような鳴き声だけど、羽をひろげると白と黒と青の配色がとても美しい。とはいえ、ミヤマカケスのミヤマは深山のことだけあって、その模様と配色に深遠さを感じてしまう。
高い木の上で虫を食べているミヤマカケス。